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2020年5月 8日 (金)

中原中也・夜の詩コレクション37/蛙 声

蛙 声

 

天は地を蓋(おお)い、

そして、地には偶々(たまたま)池がある。

その池で今夜一(ひ)と夜(よ)さ蛙は鳴く……

――あれは、何を鳴いてるのであろう?

 

その声は、空より来(きた)り、

空へと去るのであろう?

天は地を蓋い、

そして蛙声(あせい)は水面に走る。

 

よし此(こ)の地方(くに)が湿潤(しつじゅん)に過ぎるとしても、

疲れたる我等(われら)が心のためには、

柱は猶(なお)、余りに乾いたものと感(おも)われ、

 

頭は重く、肩は凝(こ)るのだ。

さて、それなのに夜が来れば蛙は鳴き、

その声は水面に走って暗雲(あんうん)に迫る。

 

(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰより。新かなに変えてあります。)

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