中原中也・夜の詩コレクション35/月の光 その二
月の光 その二
おおチルシスとアマントが
庭に出て来て遊んでる
ほんに今夜は春の宵(よい)
なまあったかい靄(もや)もある
月の光に照らされて
庭のベンチの上にいる
ギタアがそばにはあるけれど
いっこう弾き出しそうもない
芝生のむこうは森でして
とても黒々しています
おおチルシスとアマントが
こそこそ話している間
森の中では死んだ子が
蛍のように蹲(しゃが)んでる
(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰより。新かなに変えてあります。)
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