中原中也・夜の詩コレクション52/涙 語
涙 語
まずいビフテキ
寒い夜
澱粉(でんぷん)過剰の胃にたいし
この明滅燈の分析的なこと!
あれあの星というものは
地球と人との様(さま)により
新古自在(しんこじざい)に見えるもの
とおい昔の星だって
いまの私になじめばよい
私の意志の尽きるまで
あれはああして待ってるつもり
私はそれをよく知ってるが
遂々のとこははむかっても
ここのところを親しめば
神様への奉仕となるばかりの
愛でもがそこですまされるというもの
この生活の肩掛(かたかけ)や
この生活の相談が
みんな私に叛(そむ)きます
なんと藁紙(わらがみ)の熟考よ
私はそれを悲しみます
それでも明日は元気です
(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)
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