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2020年5月26日 (火)

中原中也・夜の詩コレクション52/涙 語

涙 語

 

まずいビフテキ

寒い夜

澱粉(でんぷん)過剰の胃にたいし

この明滅燈の分析的なこと!

 

あれあの星というものは

地球と人との様(さま)により

新古自在(しんこじざい)に見えるもの

 

とおい昔の星だって

いまの私になじめばよい

 

私の意志の尽きるまで

あれはああして待ってるつもり

 

私はそれをよく知ってるが

遂々のとこははむかっても

ここのところを親しめば

神様への奉仕となるばかりの

愛でもがそこですまされるというもの

 

この生活の肩掛(かたかけ)や

この生活の相談が

みんな私に叛(そむ)きます

なんと藁紙(わらがみ)の熟考よ

 

私はそれを悲しみます

それでも明日は元気です

 

(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)

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