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2020年5月28日 (木)

中原中也・夜の詩コレクション54/かの女

かの女

 

千の華燈(かとう)よりとおくはなれ、

笑める巷(ちまた)よりとおくはなれ、

露じめる夜のかぐろき空に、

かの女はうたう。

 

「月汞(げっこう)はなし、

低声(こごえ)誇りし男は死せり。

皮肉によりて瀆(けが)されたりし、

生よ歓喜よ!」かの女はうたう。

 

鬱悒(うつゆう)のほか訴うるなき、

翁(おきな)よいましかの女を抱け。                                  

自覚なかりしことによりて、

 

いたましかりし純美の心よ。

かの女よ憔(じ)らせ、狂い、踊れ、

汝(なれ)こそはげに、太陽となる!

 

(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)

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