中原中也・夜の詩コレクション77/(月の光は音もなし)
(月の光は音もなし)
月の光は音もなし、
虫の鳴いてる草の上
月の光は溜(たま)ります
虫はなかなか鳴きまする
月ははるかな空にいて
見てはいますが聞こえない
虫は下界のためになき、
月は上界照らすなり、
虫は草にて鳴きまする。
やがて月にも聞えます、
私は虫の紹介者
月の世界の下僕(げぼく)です。
(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)
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