中原中也・夜の詩コレクション86/(土を見るがいい)
(土を見るがいい)
土を見るがいい、
土は水を含んで黒く
のっかってる石ころだけは夜目にも白く、
風は吹き、頸(くび)に寒く
風は吹き、雨雲を呼び、
にじられた草にはつらく、
風は吹き、樹の葉をそよぎ
風は吹き、黒々と吹き
葱(ねぎ)はすっぽりと立っている
その葱を吹き、
その葱の揺れ方は赤ン坊の脛(はぎ)ににている。
(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)
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