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2020年6月10日 (水)

中原中也・夜の詩コレクション67/(風のたよりに、沖のこと 聞けば)

(風のたよりに、沖のこと 聞けば)

 

風のたよりに、沖のこと 聞けば

今夜は、可(か)なり漁(と)れそう、ゆっくり今頃夕飯食べてる。

そろそろ夜焚(よだき)の、灯ともす船もある

今は凪(なぎ)だが、夜中になれば少し荒れよう。

 

しらじらと夜のあけそめに、

漁船らは、沖を出発、

帰ってきた、港の朝は、

まぼろしの、帆柱だらけ

雨風に、しらんだ船側(ふなばた)、

干されたる大いな網よ。

 

せわしげな、女の声々、

 

ああ、これでは、

人生は今も聞こゆる潮騒(しおさい)のごと、

ねぼけづらなる潮騒のごと、

うらがなしく、あっけない。

 

しかすがに、みよ、猟師の筋骨、

彼等は今晩も沖に出てゆく。

そのために昼間は寝る。

 

(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)

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