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2020年6月13日 (土)

中原中也・夜の詩コレクション70/夜 店

夜 店

 

アセチリンをともして、

低い台の上に商品を並べていた、

僕は昔の夜店を憶(おも)う。

万年草(まんねんぐさ)を売りに出ていた、

植木屋の爺々(じじい)を僕は憶う。

 

あの頃僕は快活であった、

僕は生きることを喜んでいた。

 

今、夜店はすべて電気を用い、

台は一般に高くされた。

 

僕は呆然(ぼうぜん)と、つまらなく歩いてゆく。

部屋(うち)にいるよりましだと思いながら。

 

僕にはなんだって、つまらなくって仕方がない。

それなのに今晩も、こうして歩いている。

電車にも、人通りにも、僕は関係がない。

 

(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)

 

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