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2020年6月19日 (金)

中原中也・夜の詩コレクション76/コキューの憶い出

コキューの憶い出

 

その夜私は、コンテで以(もっ)て自我像を画(か)いた

風の吹いてるお会式(えしき)の夜でした

 

打叩(うちたた)く太鼓の音は風に消え、

私の机の上ばかり、あかあかと明り、

 

女はどこで、何を話していたかは知る由(よし)もない

私の肖顏(にがお)は、コンテに汚れ、

 

その上に雨でもバラつこうものなら、

まこと傑作な自我像は浮び、

 

軋(きし)りゆく、終夜電車は、

悲しみの余裕を奪い、

 

あかあかと、あかあかと私の画用紙の上は、

けれども悲しい私の肖顏が浮んでた。

 

(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)

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