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2020年6月21日 (日)

中原中也・夜の詩コレクション78/(宵に寝て、秋の夜中に目が覚めて)

(宵に寝て、秋の夜中に目が覚めて)

 

宵(よい)に寝て、秋の夜中に目が覚めて

汽車の汽笛の音(ね)を聞いた。

 

  三富朽葉(くちば)よ、いまいずこ、

  明治時代よ、人力も

  今はすたれて瓦斯燈(ガスとう)は

  記憶の彼方(かなた)に明滅す。

 

宵に寝て、秋の夜中に目が覚めて

汽車の汽笛の音を聞いた。

 

  亡き明治ではあるけれど

  豆電球をツトとぼし

  秋の夜中に天井を

  みれば明治も甦る。

 

  ああ甦れ、甦れ、

  今宵故人が風貌(ふうぼう)の

  げになつかしいなつかしい。

  死んだ明治も甦れ。

 

宵に寝て、秋の夜中に目が覚めて

汽車の汽笛の音を聞いた。

 

(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)

 

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