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2020年6月12日 (金)

中原中也・夜の詩コレクション69/夜空と酒場

夜空と酒場

 

夜の空は、広大であった。

その下に一軒の酒場があった。

 

空では星が閃(きら)めいていた。

酒場では女が、馬鹿笑いしていた。

 

夜風は無情な、大浪(おおなみ)のようであった。

酒場の明りは、外に洩(も)れていた。

 

私は酒場に、這入(はい)って行った。

おそらく私は、馬鹿面(ばかづら)さげていた。

 

だんだん酒は、まわっていった。

けれども私は、醉いきれなかった。

 

私は私の愚劣を思った。

けれどもどうさえ、仕方はなかった。

 

夜空は大きく、星もあった。

夜風は無情な、波浪(はろう)に似ていた。

 

(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)

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