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2020年6月30日 (火)

中原中也・夜の詩コレクション87/蛙 声

蛙 声

 

郊外では、

夜は沼のように見える野原の中に、

蛙が鳴く。

 

それは残酷な、

消極も積極もない夏の夜の宿命のように、

毎年のことだ。

 

郊外では、

毎年のことだ今時分になると沼のような野原の中に、

蛙が鳴く。

 

月のある晩もない晩も、

いちように厳かな儀式のように義務のように、

地平の果にまで、

 

月の中にまで、

しみこめとばかりに廃墟礼讃(はいきょらいさん)の唱歌(しょうか)のように、

蛙が鳴く。

 

(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)

 

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