中原中也・夜の詩コレクション116/道修山夜曲
道修山夜曲
星の降るよな夜(よる)でした
松の林のその中に、
僕は蹲(しゃが)んでおりました。
星の明りに照らされて、
折(おり)しも通るあの汽車は
今夜何処(どこ)までゆくのやら。
松には今夜風もなく、
土はジットリ湿ってる。
遠く近くの笹の葉も、
しずもりかえっているばかり。
星の降るよな夜でした、
松の林のその中に
僕は蹲んでおりました。
(一九三七・二・二)
(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)
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