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2020年7月19日 (日)

中原中也・夜の詩コレクション105/月夜とポプラ

月夜とポプラ

 

木(こ)の下かげには幽霊がいる

その幽霊は、生れたばかりの

まだ翼(はね)弱いこうもりに似て、

而(しか)もそれが君の命を

やがては覘(ねら)おうと待構えている。

(木の下かげには、こうもりがいる。)

そのこうもりを君が捕って

殺してしまえばいいようなものの

それは、影だ、手にはとられぬ

而も時偶(ときたま)見えるに過ぎない。

僕はそれを捕ってやろうと、

長い歳月考えあぐんだ。

けれどもそれは遂(つい)に捕れない、

捕れないと分った今晩それは、

なんともかんともありありと見える――

 

               (一九三五・一・一一)

 

(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)

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