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2020年7月24日 (金)

中原中也・夜の詩コレクション110/夜半の嵐

夜半の嵐

 

松吹く風よ、寒い夜(よ)の

われや憂き世にながらえて

あどけなき、吾子(あこ)をしみればせぐくまる

おもいをするよ、今日このごろ。

 

人のなさけの冷たくて、

真(しん)はまことに響きなく……

松吹く風よ、寒い夜の

汝(なれ)より悲しきものはなし。

 

酔覚(よいざ)めの、寝覚めかなしくまずきこゆ

汝より悲しきものはなし。

口渇くとて起出でて

水をのみ、渇きとまるとみるほどに

吹き寄する風よ、寒い夜の

 

喀痰(かくたん)すれば唇(くち)寒く

また床(とこ)に入り耳にきく

夜半の嵐の、かなしさよ……

それ、死の期(とき)もかからまし

 

(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)

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