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2020年8月24日 (月)

フランスのフィルム・ノワール的クールさに、イギリスのアンガー・ジェネレーション的熱情をプラスし、その上に北欧独特の独立心旺盛な正義漢が加わったような人物が登場する

真夜中の虹
1988年
フィンランド

監督・製作・脚本:アキ・カウリスマキ、撮影:ティモ・サルミネン、音楽: ヨウコ・ルッメ。
出演: トゥロ・パヤラ、スサンナ・ハーヴィスト、マッティ・ペロンパー、E・ヒルカモ。
日本語字幕:細川直子

フィンランドの監督アキ・カウリスマキ「真夜中の虹」は1988年の製作で、続く「コントラクト・キラー」(1990)、「マッチ工場の少女」(1990)とあわせて、監督自ら「負け犬3部作」と称している3作品の第1作だ。

他の2作を見ていないが、「真夜中の虹」は、フランスのフィルム・ノワール的クールさに、イギリスのアンガー・ジェネレーション的熱情をプラスし、その上に北欧独特の独立心旺盛な正義漢が加わったような人物が登場する、不思議なテーストをもった作品である。これを、カウリスマキ風というのだろうか。

ラップランドの鉱山の閉鎖で希望をなくした父は、息子カスリネンに幌なしのキャデラックを譲り、自殺してしまう。「南へ行くしかない」とういう父の言葉の通り、カスリネンは、幌なしキャデラックで南への旅に出る。ヘルシンキに向かう途中で、強盗にあい、有り金のすべてを奪われて、泊まるあてもなくなったカスリネンは、離婚し、家のローン返済のため複数の仕事を抱え働きづくめの子連れ女性イルメリとその息子リキの暮らしに心打たれる。すぐに生活をともにするようになるが……。

偶然、件(くだん)の強盗を見つけたカスリネンだったが、駆けつけた官憲に暴行罪で逆に逮捕され、刑期1年半の判決を受け獄入りを余儀なくされる。同房のミッコネンとは気が合い、イルメリの差し入れた誕生日プレゼントの「ヤスリ」で脱獄した。二人は、国外脱出の資金繰りで銀行を襲い成功するが、脱獄ブローカーの裏切りでミッコネンは瀕死の重傷を負う。メキシコ行きの船アリエル号がやって来る真夜中の港で、途方に暮れる。ここでエンディングとなり、「オーバー・ザ・レインボー」が流れるというストーリーである。
(2002.12.29)

<アキ・カウリスマキAki Kaurismaki フィルモグラフィー>
フィンランド 1957年生まれ

過去のない男  2002 監督・製作・脚本
白い花びら    1998 監督・製作・脚本
浮き雲      1996 監督・製作・脚本
愛しのタチアナ  1994 監督・製作・脚本
トータル・バラライカ・ショー 1994 監督・製作
レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う 1994 監督・製作・脚本
Talking with Ozu 小津と語る 1993
ラヴィ・ド・ボエーム 1992 監督・製作・脚本
コントラクト・キラー 1990 監督・製作・脚本
マッチ工場の少女 1990 監督・製作・脚本
レニングラードカウボーイズ・ゴー・アメリカ 1989 監督・脚本
真夜中の虹    1988 監督・製作・脚本
ハムレット・ゴーズ・ビジネス 1987 監督・製作・脚本
パラダイスの夕暮 1986 監督・脚本
カラマリ・ユニオン 1985 監督・製作・脚本
罪と罰        1983 監督・脚本

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