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2020年8月17日 (月)

被害者づらした加害者を、決して見逃さない眼差し

パサジェルカ
1963
ポーランド

アンジェイ・ムンク監督、ゾフィア・ポスムイシュ脚本、タデウシ・バイルド音楽。アレクサンドラ・シュロンスカ、アンナ・チェピェレフスカ、ヤン・クレチマール
カンヌ映画祭国際批評家連盟賞

ポーランド カポ--。囚人の中から選ばれた看守。その「よじれた」加害者性と被害者性を凝視する監督の冷徹な眼差し。その眼差しは、39歳で自動車事故死した監督アンジェイ・ムンクの友人3人が引き継いだ。

ナチス強制収容所の残虐・野蛮のかぎりを告発した映像はあまたあるが、この作品の眼差しはカポという存在そのものの内部に向いている。それは、平和が訪れた「現在」も、磨耗させ、風化させてはならない「わたくしたち」自身の問題であり続ける。人間が、いつこの二重性から抜け出ることができるかという課題は、だれの問題でもあるからだ。

高校生のときに、新宿アートシアターで見て以来、30年を過ぎているが、少しも色褪せていないのは、残虐シーンの羅列に留まらない映像作り、とりわけ実存内部への眼差しを堅持するムンクの遺志を受け、余分な「創造」を排した編集の勝利と言えるであろう。
(2000.5.2記)

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