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2020年9月10日 (木)

その1 一瞬のうちに結びついた男女の愛が、一瞬にして滅び去る

郵便配達は二度ベルを鳴らす
1942
イタリア

ルキノ・ヴィスコンティ監督、ジェームズ・M・ケイン原作、ジュゼッペ・ロサーティ音楽。クララ・カラマイ、マッシモ・ジロッティ、ジュアン・デ・ランダ

意に沿わぬ結婚をして、本心、夫フラガーノに触れられるのもいやなのだが、仕方なく抱かれる熟年の女ジョバンナが、風来坊のような移動労働者ジーノと出会う。共謀して、フラガーノを殺した後に二人を襲う齟齬感。ジーノは、フラガーノの影のこびり付いた家に耐えられず、ジョバンナは生きる糧となった家を離れられない。ジーノがつぶやく。「想像してたのと違う」。ジョバンナが、ジーノに拒否され、一人、片付けの終わっていない店のフロアで食事するシーンがリアルである。

ヴィスコンティは、ジーノに大道芸師との男同士の友情というテーマを設定し、男女の愛を鮮明に対比的に浮き上がらせた。また、ジョバンナをジーノより年上としたことにより、薄幸な女がつかんだかに見えた幸福が、もろく崩れていくという悲劇性をも高めたのだ。

結末、家を捨て二人が旅立つ車が転覆して、ジョバンナが無残な死に至る場面があわれである。この二人に、むつまじく穏やかで平和な家族的時間が訪れるかに見えたのは、身ごもったジョバンナが未来を語る、この旅立ちの車の中だけであった。一瞬のうちに結びついた男女の愛が、一瞬にして滅び去る。
(2000.4.8記)

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