こんな風に男が女を愛しても、女は穏やかな微笑(みしょう)を湛(たた)えているばかりである。
フランス軍中尉の女
1981年
イギリス
カレル・ライス監督、ジョン・ファウルズ原作、ハロルド・ピンター脚本。メリル・ストリープ、ジェレミー・アイアンズ
映像表現うんぬんではなく、メリル・ストリープという女優の不可思議な魅力に、映画の中のジェレミー・アイアンズと同じようにとりこになってしまった。こんな風に男が女を愛しても、女は穏やかな微笑(みしょう)を湛(たた)えているばかりである。
劇中劇の愛の悲劇を演じた俳優は、外では、不倫関係を小粋に楽しむ男女でもある。劇中劇の外の現実ではハッピーエンドに仕立てたところもじめじめさを吹き飛ばして、ますます映画を好きになってしまう。その上そこでも、自由な男女関係をあっけらかんと称賛しているかのようなアングルが抜群だ。
(2000.3.5記)
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