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2021年2月

2021年2月23日 (火)

浮舟幻想

浮舟幻想

あさぼらけ
ぬばたまの
夢に目覚め
きぬぎぬの
彼方に歌う
柴舟の姫君
あらわれる
青黒きそら
上弦の月の
ひっそりと
あさまだき
かがやいて
さねさしの
さがむ野の
あかねさす
むらさき野
火はさかり
燃えあがる
冬の明け方
愛しき浮舟

 

2021年2月21日 (日)

春風とチューリップ

春風とチューリップ

 

真っ赤なチューリップが

今年も咲いたね

同じ地面に

同じ顔で

 

‪咲き初めのチューリップを‬

‪春風がなぎ倒す‬

‪倒されても‬

‪倒されても‬

‪立ち上がって‬

‪また倒されて‬

‪また立ち上がって‬

‪金赤の花びらを‬

‪天空に‬

‪震わせている‬

 

真っ赤なチューリップが

今年も咲いたね

同じ地面に

同じ顔で

 

風に吹かれて

倒されて

泥んこのチューリップ

美少女が

遊び呆けて

転んだみたい

満月が笑ったみたい

7日間咲いて

きっぱり散った

 

(2020.4.28)







2021年2月15日 (月)

春風

春風

自転車が
倒れる倒れる倒れる
小気味いい春風
米兵は半袖だ
爽やかな春風
吹き飛ばせ
冬の垢
半袖だ半袖だ
キャンプの恋人たちは
半袖だ
春風が吹き荒れる
倒れる倒れる倒される
自転車が
春風に倒される
気持ちいい春風
半袖だ半袖だ
米兵は半袖だ
青空に羊雲
恋人たちは半袖だ

2021年2月10日 (水)

早春の音

駐輪場の日曜日
立春を過ぎて
ぐんとあたたかな朝です
尾黒鶺鴒の尾が何気なくすっきりし
下弦の月がどことなく
黄味を増し
指先がちぢかみませんし
耳あても要らなくなりました
9時ともなれば
どこからとなく
みしみしと
陽を浴びた布団の声が聞こえます
先ほどから私は
入り口のスロープの陽だまりに
時を忘れて
ボーっと立ったままです
立ったまま
身も心もなくして
燦々と降る
陽の光の音を浴びています 
雀がちゅるちゅる
頭上の電線で鳴き交わし
みしみしみしみしと
どこからともなく
綿の実の弾ける音が
聞こえています
タテハ蝶さえ
10時過ぎに飛んで来ました
鵯が虫を咥えて飛んで行きました
空は果てしもない青天井です
私はついついまどろみに誘われて
そっと瞼を閉じると
山浦という同僚のことを思い出します
そして
山浦にも
みしみしみしみしと
耳元にさざめいている
この春の音を
聞かせてあげたかったと
ふと思ったのでした
山浦は年末に
いま私の立っている
駐輪場の入り口の
道路の向こうの詰所の前で倒れ
年明けに亡くなりました

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