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2021年2月10日 (水)

早春の音

駐輪場の日曜日
立春を過ぎて
ぐんとあたたかな朝です
尾黒鶺鴒の尾が何気なくすっきりし
下弦の月がどことなく
黄味を増し
指先がちぢかみませんし
耳あても要らなくなりました
9時ともなれば
どこからとなく
みしみしと
陽を浴びた布団の声が聞こえます
先ほどから私は
入り口のスロープの陽だまりに
時を忘れて
ボーっと立ったままです
立ったまま
身も心もなくして
燦々と降る
陽の光の音を浴びています 
雀がちゅるちゅる
頭上の電線で鳴き交わし
みしみしみしみしと
どこからともなく
綿の実の弾ける音が
聞こえています
タテハ蝶さえ
10時過ぎに飛んで来ました
鵯が虫を咥えて飛んで行きました
空は果てしもない青天井です
私はついついまどろみに誘われて
そっと瞼を閉じると
山浦という同僚のことを思い出します
そして
山浦にも
みしみしみしみしと
耳元にさざめいている
この春の音を
聞かせてあげたかったと
ふと思ったのでした
山浦は年末に
いま私の立っている
駐輪場の入り口の
道路の向こうの詰所の前で倒れ
年明けに亡くなりました

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