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2023年1月 3日 (火)

詩のこころ2023

恍惚の鵯 ヒヨドリin ecstacy

1

 

冬のアテネの街で

粗末な衣服に身を包んだ哲人が

日向ぼっこを楽しんでいた

 

その頃

東京郊外のとある病院の柿の巨木に

鵯ヒヨドリの小群れが集合した

 

ヒヨドリたちは

いつになく興奮しているのが

自動車の激しく行き来する道から

見て取れた

 

鈴なりの柿の実の枝から枝へ

忙しなくヒヨドリたちは渡り

時折、虚空へ飛び立った

 

枝を渡ったヒヨドリは

新しく手に入れた熟柿に嘴を埋めて

しばらく静止したかと思う間もなく

また他の枝に飛び移る

 

蕩ける甘味に身を任せて

無防備で自由気ままな格好を晒し

逆立ちして枝にぶら下がり 

一心に実をしゃぶっては

歓喜の絶叫を放っている

 

ヒヨドリたちのその時の顔を

誰が見ただろうか?

その表情こそ

恍惚というものに違いないが

高い木の上であり

じっくり見ることはできない

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