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カテゴリー「199詩のこころ」の記事

2021年5月30日 (日)

朝の歌

朝の歌

 

朝だ

輝かしい朝が来た

鵯(ひよどり)の小群れが喜んで

身をくねらせて鳴き交わしている

希望の朝が

ぼくにもやって来た

鬱陶しい夢から覚めて

台所ごみの袋を下げて歩く

目覚めきらないぼくに

青空を引っかいた筋雲が迎える

輝かしい朝よ

お陰で

失敗だらけの過去に染まって

悔恨で煮詰まったぼくの頭の中は

みるみるうちに晴れ渡り

今はもう

爽やかな風が吹いている

雀や椋鳥が喜び交わす声も聞こえて

今にも懐かしい少女の面影が現れる

おお!

朝だ

輝かしい朝だ

希望の朝が

ぼくにもやって来た

2021年3月 5日 (金)

送電線の来た道

送電線の来た道

どこから来て
どこへ行く?
人知れず
つぶやいている
そ・う・で・ん・せ・ん

いつからか
虎落笛(もがりぶえ)の
発生源と思い込んでいる
送電線は
寂しさの元

どこから来て
どこへ行く?
暇があるから
隣りの鉄塔を
追ってみる
寂しさの果てなむ国を
求める真似して

あっ
9歳の僕がいる

行き着いた場所は
公園の小さな遊園地
人が乗らないブランコ一つ
微動だにしないで
垂れている

その隣りには
真っ赤なボディーの滑り台
真っ直ぐに降りてくる
一瞬に終わるジャンプの後の
密かな興奮を
誰も見ていない
チンポコがズキンとして
めまいがした
あの時の
僕がいる

2021年3月 4日 (木)

瓦屋根、眩しい

瓦屋根、眩しい
春嵐吹く昼下がり
僕の心は
どこにある
駐輪場に来る人たちは
みんな急いで
どこへ行く

僕の心は急がない
僕の心はここにあり
ここにあるほか
どこにもない
僕の心は動かない
ここにあって
急がない

瓦屋根、眩しい
僕は立っている
昼下がりの駐輪場

先ほどから
交差点の向こうのマンションで
外装工事のための足場を掛けている
二人の職人の呼吸を見ている
一人は2階で
一人は地上で
互いに声掛けあって
鉄パイプだの
ジョイントだのを
下から上へ
一人は渡し
一人は受け取って
小気味よく
次々に
パイプを繋げていく

瓦屋根、眩しい
春嵐の昼下がり
斜向かいのマンションで
足場組みが始まった
鉄と鉄がぶつかる
俄かに人影が躍動する

パイプがパイプにぶつかる
コーンカーン
組んだパイプを
ハンマーが打ちつける
コーンカーン
豹の動きを思わせる
若い職人は
2本線のヘルメットを被った先輩に
はいっはいっと
指示通りの仕事をこなす度に
快活に返答している

瓦屋根、眩しい
隣りのマンション、躍動する
僕は立っている
昼下がりの駐輪場
どこにも行かないで
立っている

2021年2月23日 (火)

浮舟幻想

浮舟幻想

あさぼらけ
ぬばたまの
夢に目覚め
きぬぎぬの
彼方に歌う
柴舟の姫君
あらわれる
青黒きそら
上弦の月の
ひっそりと
あさまだき
かがやいて
さねさしの
さがむ野の
あかねさす
むらさき野
火はさかり
燃えあがる
冬の明け方
愛しき浮舟

 

2021年2月21日 (日)

春風とチューリップ

春風とチューリップ

 

真っ赤なチューリップが

今年も咲いたね

同じ地面に

同じ顔で

 

‪咲き初めのチューリップを‬

‪春風がなぎ倒す‬

‪倒されても‬

‪倒されても‬

‪立ち上がって‬

‪また倒されて‬

‪また立ち上がって‬

‪金赤の花びらを‬

‪天空に‬

‪震わせている‬

 

真っ赤なチューリップが

今年も咲いたね

同じ地面に

同じ顔で

 

風に吹かれて

倒されて

泥んこのチューリップ

美少女が

遊び呆けて

転んだみたい

満月が笑ったみたい

7日間咲いて

きっぱり散った

 

(2020.4.28)







2021年2月15日 (月)

春風

春風

自転車が
倒れる倒れる倒れる
小気味いい春風
米兵は半袖だ
爽やかな春風
吹き飛ばせ
冬の垢
半袖だ半袖だ
キャンプの恋人たちは
半袖だ
春風が吹き荒れる
倒れる倒れる倒される
自転車が
春風に倒される
気持ちいい春風
半袖だ半袖だ
米兵は半袖だ
青空に羊雲
恋人たちは半袖だ

2021年2月10日 (水)

早春の音

駐輪場の日曜日
立春を過ぎて
ぐんとあたたかな朝です
尾黒鶺鴒の尾が何気なくすっきりし
下弦の月がどことなく
黄味を増し
指先がちぢかみませんし
耳あても要らなくなりました
9時ともなれば
どこからとなく
みしみしと
陽を浴びた布団の声が聞こえます
先ほどから私は
入り口のスロープの陽だまりに
時を忘れて
ボーっと立ったままです
立ったまま
身も心もなくして
燦々と降る
陽の光の音を浴びています 
雀がちゅるちゅる
頭上の電線で鳴き交わし
みしみしみしみしと
どこからともなく
綿の実の弾ける音が
聞こえています
タテハ蝶さえ
10時過ぎに飛んで来ました
鵯が虫を咥えて飛んで行きました
空は果てしもない青天井です
私はついついまどろみに誘われて
そっと瞼を閉じると
山浦という同僚のことを思い出します
そして
山浦にも
みしみしみしみしと
耳元にさざめいている
この春の音を
聞かせてあげたかったと
ふと思ったのでした
山浦は年末に
いま私の立っている
駐輪場の入り口の
道路の向こうの詰所の前で倒れ
年明けに亡くなりました

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